9月の旅立ち
: UPDATE /リヨン
9月に学年度が始まるフランス。フランスの南東部に位置するリヨンの学校に、次女が進学し一人暮らしを始めました。引越しの手伝いに私も一緒にリヨンに行き、数日間滞在してきました。
紀元前1世紀古代ローマの時代に、リヨンの西側フルヴィエールの丘に町が作られ、この丘と写真手前のソーヌ河と向こうの東側を流れるローヌ河から都市を広げたそうです。ルネッサンス期には、国から特許を受けた絹織物産業が発展し豊かな都市になりました。
紀元前1世紀古代ローマの時代に、リヨンの西側フルヴィエールの丘に町が作られ、この丘と写真手前のソーヌ河と向こうの東側を流れるローヌ河から都市を広げたそうです。ルネッサンス期には、国から特許を受けた絹織物産業が発展し豊かな都市になりました。
フルヴィエールの丘から見るリヨン市街
フルヴィエールの丘に立つ大聖堂
街のどこからでも丘の上の大聖堂が目に入ります。フルヴィエールの大聖堂はピエール・ボッサンが設計し、1896年に完成させました。たまたまミサの最中に大聖堂に入り、金の装飾や見事なモザイク画に息をのみました。壁を覆うモザイク画にはターコイズブルーと金色が多く使われていています。ステンドグラスから入る外の光と照明で照らされた聖堂に、聖歌が反響し、大きな存在に包み込まれたように感じ安堵を覚えました。
それにしても、この大聖堂を個人献金で建造したリヨンはすごい!ヨーロッパで 17世紀にペストが流行した時も、19世紀にコレラが流行したときも普仏戦争でプロイセン軍がリヨンに進軍した時も、リヨンの人々は教会に保護を求め、聖母に祈ったそうです。そのかいあって流行病は収束し、プロイセン軍は撤退した、と言い伝えられています。街のシンボルの丘に建つ大聖堂は旧市街からケーブルカーで行くことができます。
それにしても、この大聖堂を個人献金で建造したリヨンはすごい!ヨーロッパで 17世紀にペストが流行した時も、19世紀にコレラが流行したときも普仏戦争でプロイセン軍がリヨンに進軍した時も、リヨンの人々は教会に保護を求め、聖母に祈ったそうです。そのかいあって流行病は収束し、プロイセン軍は撤退した、と言い伝えられています。街のシンボルの丘に建つ大聖堂は旧市街からケーブルカーで行くことができます。
フルヴィエールの丘に建つノートルダム大聖堂(Basilique Notre Dame de Fourvière)
美食の街のチーズ
美食の街として知られるリヨンに着いたのは平日でしたが、どこにいってもレストランやバーがにぎわっていました。いずれ機会を作ってリヨンならではのビストロ「ブション・リヨネーズ」も訪問したいと思いますが、今回のコラムでは、リヨン市内のチーズ店とリヨン近郊とリヨンから遠くない地域で作られるチーズを取り上げます。
レ・トロワ・ジャン(Les Trois Jean)
リヨンを南北に走るメトロB線のジャン・マセ駅(Jean Macé)付近のチーズ店で、5月のコラムで紹介した岩田加奈子さんの昔の勤め先でもあります。
レ・トロワ・ジャン(Les Trois Jean)
右の写真はリヨンで有名なチーズの一つ、セルヴェル・ド・カニュ(Cervelle de Canut)です。フロマージュ・ブランにエシャロットやシブレット、ニンニクなどで風味づけし、塩、コショウ、ワインビネガー、オリーブオイルで味を整えています。客の好みに合わせてニンニクを入れない店もあるとのこと。
名前の由来は諸説あるそうですが、絹織物の職人たちがパンやゆでたジャガイモにつけて食べていたことからとも言われています。簡単な食事としてその頃から現代にいたるまですっと愛されているのですね。こちらの店では、リヨンの代表的なチーズであるサン マルセランを買いましたが、なめらかでコクがあってとてもおいしい!ラクレットやフォンデュにするチーズが豊富と聞きましたので、冬に再訪したいです。
名前の由来は諸説あるそうですが、絹織物の職人たちがパンやゆでたジャガイモにつけて食べていたことからとも言われています。簡単な食事としてその頃から現代にいたるまですっと愛されているのですね。こちらの店では、リヨンの代表的なチーズであるサン マルセランを買いましたが、なめらかでコクがあってとてもおいしい!ラクレットやフォンデュにするチーズが豊富と聞きましたので、冬に再訪したいです。
セルヴェル・ド・カニュ(Cervelle de Canut)
「織物職人の脳みそ」という名付けのセンスが何とも言えません。
フロマジュリー・テット・ドール(Fromagerie Tête d’Or)
フロマジュリー・テット・ドールは6区にあり、チョコレートの有名店ベルナシオンにも近い商業地区にあり、高級住宅街のある地区です。クリーム色の壁、木材、スポットを多く使った照明がこの店内を洗練された、けれども暖かい雰囲気にしています。
フロマジュリー・テット・ドール(Fromagerie Tête d’Or)
訪れた日は金曜日とあって途切れなくお客さんが入ってきていました。この日、店におられた販売員兼熟成士のルノーさんは、この店で働いて15年になるそうです。ルノーさんのように相談しがいのある販売員がいる商店は、特に食料品を買う店を選ぶ際、大事な指標になります。販売チーズの90%以上が『Lait Cru』(レ・クリュ) つまり無殺菌乳製とのことで、まずはどんなチーズを選んでも間違いないと感じました。
リヨンの北、ブルゴーニュ地方で作られるシャロレAOP
ショーケースの手前にリヨンに欠かせない二つのチーズ、サン フェリシアンとサン マルセランがおかれています。
ロカマドール、リゴット・ド・コンドリュー、ペラルドンなど大きさ、形がさまざまなヤギのチーズ。
商品名の下にAOPマークが入っているのは、買う人の参考になって親切です。
少しだけ買える
ホテルに滞在中だったので少量を買いたいと思い、ここでは手にとって食べやすいよう薄くカットされ、カップに入ったミモレットとリゴット・ド・コンドリューAOPという農家製のヤギのチーズを買いました。リゴットはホクホクした食感と爽やかな酸味があり、同じヤギのチーズで大きさが似たクリーミーなロカマドールとは個性が違います。
左下 3~4センチのリゴット・ド・コンドリュー
奥 カットされたミモレット
右 サン マルセラン(4分の1)
学生だったり独身だったりして買う量が少なくても、同じように接客をしてくれて、相談しながら買える商店はチーズ店に限らず肉屋や八百屋など、フランスのどの街にもあります。このような買い方を好む人がいて、この「食の文化」が作る人、売る人、買う人によって継承されているところもフランスの魅力になっていると実感しています。旧市街の周辺が世界遺産にもなった大きな都市なのに、二つの大河が流れゆったりした雰囲気があるリヨンの魅力を、今後も折に触れてお伝えできれば幸いです。