冬の青空
: UPDATE /
気持ちをリセットしたいときには、上昇中の機体が雲の上に出たときに見える大きな青い空を思い出しています。戦争や自然災害の報道を見て胸に鉛が入ったような重苦しさを感じる日があなたにもあったら、青い空を思い浮かべてみてください。できれば外に出て、空を眺めるように少し上を向いて歩くと気持ちが収まっていきます。元日の能登半島地震では、特に奥能登で大きな被害がありました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、ご遺族の方々にお悔やみを申し上げます。また被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
真冬のまちなか牧場
先日、パリの西に位置する16区の区役所で朝の9時から始まる夫の従妹の結婚宣誓式に参列しました。フランスは結婚届だけで婚姻が成立せず、役所での宣誓式というプロセスがあるのです。早く着いた私たちは区役所の玄関ホールで待機していました。時間潰しになにげなく中庭に出てびっくり。飛び跳ねるヤギ、走り回るミニ豚、マイペースなミニ羊、鶏と鴨まで飼育されていました。仮設だと思いますが、役所の庭にミニ牧場というアイディアが面白いですよね!動物園ではなく、あえて牧場と書いたのは、ミニサイズではあっても家畜動物ばかりだったからです。摂氏ゼロに近い朝でしたが、寒さなど関係ないかのように走り回っていました!
16区区役所 中庭のミニ牧場
2024年のパリ
さて今年のパリのイベントといえば、やはり話題にのぼるのがオリンピックです。オリンピックの競技が始まる7月下旬からパラリンピックが終わる9月始めまで、世界中から集まる観光客だけでなく、パリピの多いパリジャンもお祭り一色になるのではと予想しています。これは可愛くないと言われる大会マスコットのフリージュです。
ルーブル美術館所蔵のドラクロアの民衆を導く自由の女神に描かれた、三色旗をかかげるマリアンヌが被るフリジア帽がモチーフなのだそうです。
パリ大会では、会場と競技のマッチングも見ものになりそうです。開会式には、各国選手団を乗せた約160隻の船がセーヌ川を下って入場するそうですし、コンコルド広場のブレイキン(ブレイクダンス競技)やヴェルサイユ宮殿の馬術競技といった、パリの歴史的建造物やモニュメントを背景にアスリートが競う姿をテレビで見られるのが楽しみです。
パリ大会では、会場と競技のマッチングも見ものになりそうです。開会式には、各国選手団を乗せた約160隻の船がセーヌ川を下って入場するそうですし、コンコルド広場のブレイキン(ブレイクダンス競技)やヴェルサイユ宮殿の馬術競技といった、パリの歴史的建造物やモニュメントを背景にアスリートが競う姿をテレビで見られるのが楽しみです。
オリーブは御神木?
ところでオリンピックを始めスポーツ大会の優勝者がローリエ(月桂樹)の葉でできた月桂冠を贈られることはよく知られています。しかし、古代ギリシャの「オリンピュア祭」で勝者に贈られたのは「オリーブの冠」でした。一方、月桂冠は古代ギリシャの芸術の大祭「ピューティア祭」で優れた音楽や詩を作った者に贈られたそうです。
お正月の門松に常緑樹の松を使うように、フランスではよくオリーブの枝をあしらって花を飾ります。旧約聖書のノアの方舟で、洪水後に舟から飛び立ったハトがオリーブの枝をくわえてもどったお話は有名ですね。真冬も緑の葉が枯れない松とオリーブは、東西文化の聖なる木とも言え、命の永続性という人間の願いと祈りが表現されていると思います。
お正月の門松に常緑樹の松を使うように、フランスではよくオリーブの枝をあしらって花を飾ります。旧約聖書のノアの方舟で、洪水後に舟から飛び立ったハトがオリーブの枝をくわえてもどったお話は有名ですね。真冬も緑の葉が枯れない松とオリーブは、東西文化の聖なる木とも言え、命の永続性という人間の願いと祈りが表現されていると思います。
オリーブ、ローズゴールドに彩色したオリーブ、トルコ桔梗
Tête de Moine(テット・ド・モワンヌ)
祈りからの連想で、今回のコラムでは修道院、教会にゆかりのあるAOPチーズを二種ご紹介しましょう。
まずスイスのジュラ地方で作られるテット・ド・モアンヌ。「修道士の頭」というユニークな名前です。ジロールという専用の道具で花びら状に削って食べます。削られたことでほろりとした食感になり、濃縮されたうま味と香りがあります。取っ手をぐるぐる回して削ること自体も楽しいのですよ。私はジロールを持っていませんが、持っている仏人の友人宅でこのチーズを削って食べるのを楽しみにしています。
まずスイスのジュラ地方で作られるテット・ド・モアンヌ。「修道士の頭」というユニークな名前です。ジロールという専用の道具で花びら状に削って食べます。削られたことでほろりとした食感になり、濃縮されたうま味と香りがあります。取っ手をぐるぐる回して削ること自体も楽しいのですよ。私はジロールを持っていませんが、持っている仏人の友人宅でこのチーズを削って食べるのを楽しみにしています。
使用頻度を考えて買えないでいるジロール!
ムダなく楽しむ
会食が多い年末年始が過ぎ、普段の生活に戻るフランスの一月。チーズをたくさん買っても食べきれない、と思っていたところ、写真のチーズセットを見かけました。サヴォア地方のAOP=原産地保護呼称チーズを中心に4種のチーズの小さめのスライスです。写真の奥から時計回りにアボンダンス、ルブロション、サン・マルセラン、トム・ド・サヴォア。ミルティーユ(ブルーベリー)のジャムまでついています。いろんな熟成チーズを少量食べたい人には朗報ではないでしょうか。
写真の奥から時計回りにアボンダンス、ルブロション、サン・マルセラン、トム・ド・サヴォア
Abondance(アボンダンス)
アボンダンスはコンテ、ボーフォールと合わせて、フランスの代表的な山のチーズのひとつです。この三つ、見た目も味も似ていますが、秋冬に店頭に並ぶ夏の放牧で搾乳して作られるものは、花やハーブの香りがするものもあって味わいが良いものが多いです。当サイトで紹介中のVagne(ヴァーニュ)のコンテは、側面が樽のようにわずかに丸くなっていますが、アボンダンスは逆に反り返っているのが特徴です。これは「チーズの素を木枠に入れた後、側面にまわした網で大きさを調整したときにへこむ」からと磯川まどかさんの著書「フロマージュ」に紹介されています。
同著ではアボンダンスの歴史についても触れ、「古い記録では1381年、カトリックの教皇を選出する会議がAvignon(アヴィニョン)で開かれたときの食事にアボンダンスがサーヴィスされたことが当時の貴族の書簡に残っています」とあります。修道士たちが作っていたローカルなチーズが、教皇選出会議の食事で有名になったようです。
余談ながら1309年から1377年まで続いた教会「大分裂」の時代に使われた重厚でそびえたつアヴィニョン教皇庁は見学でき、アヴィニョン橋も含め中世都市アヴィニョンの見どころとなっています。パリからTGVで2時間40分ですから、この7、8月はオリンピックを見るついでに訪問する観光客で賑わうことでしょう。
身体の中のひとつの細胞のように、一人ひとりの人間も、動物も植物も与えられた役割を果たすために存在する地球という有機体の一部だと考えるようになりました。それがゆえに、自分も他人も動植物も尊重して見守る姿勢を身につけたいと望むこの頃です。この新しい一年、世界が違いによって分断されず、人々が大きな調和を目指すことを願います。その結果、平和が拡がり誰もが心身の健康を保って毎日を生きられますように。
同著ではアボンダンスの歴史についても触れ、「古い記録では1381年、カトリックの教皇を選出する会議がAvignon(アヴィニョン)で開かれたときの食事にアボンダンスがサーヴィスされたことが当時の貴族の書簡に残っています」とあります。修道士たちが作っていたローカルなチーズが、教皇選出会議の食事で有名になったようです。
余談ながら1309年から1377年まで続いた教会「大分裂」の時代に使われた重厚でそびえたつアヴィニョン教皇庁は見学でき、アヴィニョン橋も含め中世都市アヴィニョンの見どころとなっています。パリからTGVで2時間40分ですから、この7、8月はオリンピックを見るついでに訪問する観光客で賑わうことでしょう。
身体の中のひとつの細胞のように、一人ひとりの人間も、動物も植物も与えられた役割を果たすために存在する地球という有機体の一部だと考えるようになりました。それがゆえに、自分も他人も動植物も尊重して見守る姿勢を身につけたいと望むこの頃です。この新しい一年、世界が違いによって分断されず、人々が大きな調和を目指すことを願います。その結果、平和が拡がり誰もが心身の健康を保って毎日を生きられますように。
新年のカウントダウンに祈りを込めて午後11時55分を模した板状チョコレートとバニラのムースのコントラスト