カナダの国立公園をキャンプ

: UPDATE /

3週間のロード・トリップ

フランスの3倍、日本の5倍の面積があるカナダのケベック州を、7月下旬から8月中旬の3週間レンタカーで旅しました。
半年前からガイドブックを買い込み、ルートや候補地を研究し、4ヶ月前には家族と義理の両親の6人分の航空券と宿泊の手配を済ませました。

よく整備されたケベック州の国立公園よく整備されたケベック州の国立公園

モントリオールからケベック州に入り、5つの国立公園(Mauricie, Fjord du Saguenay, Gaspésie, Forillon, Bic)でキャンプをしたり、森や湖の辺りをハイキングをしたり、ホエール・ウォッチングをして、ケベック・シティに戻る約3000キロのルートです。

ザトウクジラ Les Escoumins, Québecザトウクジラ Les Escoumins, Québec

Ready-to-campというキャンプの仕方

カナダの国立公園の多くにはテントなどのキャンプ用品を一式持参せずにキャンプのできる所があります。「ready-to-camp」、フランス語で「プレ・タ・カンペ(prêt-à-camper)」と呼ばれ、寝袋のみ持参が必要です。

プレ・タ・カンぺ エトワール BIC国立公園内キャンプ場にてプレ・タ・カンぺ エトワール BIC国立公園内キャンプ場にて

5〜6人が寝られる大型のテントには、人数分のベッド、テーブル、椅子、冷蔵庫があります。
鍋やフライパン、大小の皿にカトラリー、カップやグラスが収納されたキッチンの作業台(水道は外)がテント内にあり、テントの外にはテーブルと椅子、地面にキャンプファイヤー用の鉄の囲いがあり、ガス台もついています。
熊(ブラック・ベア)の出現する国立公園には、テント内に食べ物や歯磨きクリームなど匂いのするものを置けないため、テントの前に鍵付きの収納庫までありました。カナダの自然の中で長く滞在したいけれど、フランスから飛行機で移動するためかさばるキャンプ道具を持っていけなかった我々家族連れには、このキャンプ施設「プレ・タ・カンペ」がぴったりでした。

ブラックベアブラックベア

10cm先が見えなくなるほどの夜霧や、セント・フローレンス川を渡る船の汽笛。木々にたわわになる真っ赤なさくらんぼや、朝夕に通る狐の親子。時間につれ思い出になった旅では、五感で受けた「色」や「音」がくっきり際立ってきます。

乳母の乳房

ケベックからフランスチーズの話題に戻ります。250グラムと大きく、形にインパクトのある山羊の無殺菌乳が原料の柔らかなシェーブルで名前は 乳母の乳房 Sein de Nounouといいます。
サントロペのチーズ店で見かけて気になりながらも、「大きい」ので買うのをためらっていました。パリのチーズ店ではまだ見かけたことがありません。同じように木炭粉をまぶして熟成してあるセル・スール・シェール(Selles-sur-Cher)を思わせる、正統派シェーブルといったところです。酸味がバランス良く、上品な味わいです。

ローヴ・デ・ガリッグ

奥に写るのはローヴ・デ・ガリッグ(Roves des Garrigues)です。
磯川まどか著の「フロマージュ」には、「ガリッグは地中海地方の石灰質の乾燥地域のことで、このチーズはプロヴァンスの南、ガリッグのフェルミエでローヴ(Roves)種のヤギのミルクで作られているのでこの名前がつきました」とあります。
農家で団子状に丸めて作っているため、大きさや脂肪分はまちまちだそうです。南仏で休暇を過ごす私は、地元で作られたガレットと呼ばれるシェーブルを買うことが多いです。
暑く乾燥した日のディナーの終わりに、酸味が爽やかなシェーブルであればみんなの手が伸びるから。
シェーブルは、フレッシュであったり、または短い熟成期間でいただくものが多いこともあり、フランス国内で買い求めたものが個人的にはおいしいと思っていました。
旅(輸送)に強いチーズと旅が苦手なチーズがあるなあとアメリカ在住時、フランス産のチーズを食べる度に感じましたが、輸送手段が非常に洗練されている日本だと、フランス国内で食べるのとほぼ変わらない状態でいただけるように思います。

右サン・ド・ヌヌーSein de Nounou、左奥ローヴ・デ・ガリッグRoves des Garrigues右サン・ド・ヌヌー(Sein de Nounou)、左奥ローヴ・デ・ガリッグ(Roves des Garrigues)

私の好きな季節

秋に入り涼しくなり、これから週末の外出が楽しい季節ですね。こちらは穏やかな秋空の下、パリ散歩が楽しく、マルシェに並ぶ太った栗や、きのこが目に美しくかつ美味しく、夜は読書が楽しい、と楽しいことづくしの季節です。

昨日は一ヶ月の開催期間の最終日だった「若冲〈動植綵絵〉を中心に」をプティパレ美術館でなんと4時間並んで見てきました。すぐ前に並んでいた中国人の若い女の子と話をしてその場で携帯の番号を交換し、交代で休憩を入れつつ並びましたので、ずっと立ちっぱなしではありません。
列に並ぶのが嫌いなパリの人たちが4時間大人しく並ぶ様子に感心し、彼らが見せる美しいものへの執念にも、若冲さんの余裕の天才ぶりにもすっかり感心させられた日曜の午後でした。

50を超えるイベントがあるジャポニズム2018の開催中は、これ以外にも様々な催しがあります。
2018年10月26日から2019年1月27日にパリのチェルヌスキ美術館で開催される「京都の宝―琳派300年の創造」展もその一環ですが、俵屋宗達の風神雷神屏風がパリで初めて公開されるとあって、今からとても楽しみです。

五条ミショノウさやか

2004年からパリに在住。 家族は夫と娘が二人。 業界誌や講演録などの英日翻訳をしています。