コルシカ島

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みなさん、コルシカという島をご存知でしょうか?
イタリアとの国境に接する地中海にあるフランス最南端の島。右手の親指を立てた時のような形の島で、広さは広島県ぐらいだそうです。

日本人にはあまり馴染みのないこの島、私はよく人に説明をする時に「フランスの沖縄」と言うのですが、海と山の自然が多く残るいい意味で田舎の島です。

今年のバカンスはこのコルシカでたくさんのチーズと出会うことができたので、ぜひ皆さんにぜひご紹介させていただきたいと思います。

コルシカへ行くには飛行機かフェリーのどちらかを使うのですが、私たちは車でバカンスに行くのでフェリーを使います。今回はイタリアの斜塔で有名なピサの近くの港からフェリーに乗り、バスティアという島の東部の街へ。

バスティアの城壁からの眺めバスティアの城壁からの眺め

山コルシカ

そしてここからちょうど島の中心ぐらいに位置するコルテというところへ移動しました。コルテはコルシカで唯一大学のある街、ということで想像していたよりも活気ある大きな街でした(といってもみなさんが想像するよりは小さいと思いますが・・・)。

実はコルシカは今回で3回目なのですが、海沿いでない街で宿泊するのは初めて。コルシカは島を15日間かけて縦断するトレッキングコースがあり山も有名、ということで、今回初の山コルシカです。

コルシカの雄大な山コルシカの雄大な山

自然のプール

コルテにはTavignanoとRetonicaという2つの川が流れています。ガイドブックにはこの2つの川の「自然のプール」で泳げます、と。

けもの道のような山道を30分ほど歩いていくと写真のようなところを発見。水の透明度がスゴイ!川の流れに従ってところどころ深くなっていてまさに「自然のプール」です。みんな気に入った場所を選び、岩の上に荷物をおいて水浴びをしたり本を読んだり。
木漏れ日の中で大きな岩に座ってぼーっとこの景色を眺めていると「楽園」という言葉が思い浮かびました。

Tavignanoの自然のプールTavignanoの自然のプール

コルシカの名物

コルテでは外食をする機会があったのですが、レストランに行くとメニューに必ずあるのがコルシカチーズのBrocciu(ブロッチュ)をつかった地元の料理。ブロッチュは羊もしくは山羊の乳を使った白いチーズ。このチーズは夏はシーズンではないということでフレッシュなものを食べることができませんでしたが、塩づけのものを買うことができたので後でご紹介したいと思います。

ブロッチュのカネロニブロッチュのカネロニ

その他、コルシカ特有の食べ物といえば、イノシシの肉の煮込みや豚肉で作ったサラミがあります。そして海に囲まれている島にも関わらず魚より肉の方をよく食べるそうです。
そしてワインも有名。私たちが毎食飲んでいたのもコルシカのロゼワインです。

ブロッチュを小麦粉、卵、牛乳と混ぜて揚げたものブロッチュを小麦粉、卵、牛乳と混ぜて揚げたもの

海コルシカ

しかしやはり私たちの旅行のメインは海。コルテで3泊した後は西側にあるコルシカ第2の街アジャクシオから30キロほど離れた街にある海の前のレジデンスへ。そこで1週間海とプールに行くだけの生活。

ビーチでの過ごし方は日本との違いを色々感じさせられます。

まず、日本では泳いでいる(海につかっている?)人が大半ですが、こちらでは砂浜でやいている人の方が大半。

水着は老いも若きも太っていても痩せていてもビキニ、パレオを巻いている人や上に何かを羽織っている人はいません。いえいえ、隠すどころかトップレスも普通にいます。

そしてビーチで飲んだり食べたりしている人がいない。みんな裸になって寝転がり読書をしながら体をやいている・・・何もしない・・・そのためにビーチにくるのです。なんて贅沢!

コルシカの海の美しさは・・・ぜひ写真をご覧下さい。

Sagone湾のビーチSagone湾のビーチ

 

レジデンスからの夕陽レジデンスからの夕陽

アジャクシオのチーズの有名なお店

ナポレオンが生まれた街として知られているアジャクシオ。こちらではフランス人オススメの地元の食材店、U STAZZUにお邪魔してきました。

オーナーが空手好きの親日家のようで色々なチーズを味見させてもらいました。

所狭しと上からぶら下げられたSaucisson(サラミ)が圧巻な店内所狭しと上からぶら下げられたSaucisson(サラミ)が圧巻な店内

 

コルシカ型のプレートに乗せられているチーズ、丸い一番大きな物から右回りにコルシカ型のプレートに乗せられているチーズ、丸い一番大きな物から右回りに

Tomme de Chevre(トム・ドゥ・シェーブル)羊乳ハードタイプ:
 いわゆるシェーブルの獣臭さがないマイルドな味わい
カルヴィ産の羊乳フレッシュタイプ:
 比較的さっぱりした味わい
羊乳ハードタイプ:
 見かけからは意外なクリーミーな味わい
羊乳ウォッシュタイプ:
 熟成したパルミジャーノのようなコクのある味わい

ここのチーズはFermier、つまりコルシカ種の羊か山羊を自然の状態(放牧)で飼育している農家が自分の家で作ったチーズ。生産者から直接仕入れているこれらの地元のチーズで熟成は6~7ヶ月ということで、味も濃厚で匂いもキツいのですが・・・でもとても美味しい。

コルシカのチーズは300ある農家がそれぞれ作っているチーズがほとんどで、作り方も様々、ほとんどのチーズが乳の種類とタイプ別に分類されるだけでそれぞれがオリジナルのチーズなのです。ある意味本来のチーズのあるべき姿が残っているのかもしれません。

いろんなTomme(トム:円形のハードチーズ)

コルシカでトムを買うと3種類のチーズが買えます。
一番大きい物がTomme de Brebis(羊のチーズ)、真ん中のサイズがTomme de Chevre(山羊のチーズ)、小さいものがTomme de Brebis/Chevre(羊と山羊のチーズ)です。

見た目にはほとんど違いがありませんが、それぞれ羊、山羊、羊と山羊の乳から作られたトム。そうです、コルシカでは山道で牛が歩いているのを見ることはあっても牛のチーズはないのです。

どれもクセがなく、特にTomme de Chevreはシェーブルの臭みが全く感じられず食べやすい。Brebisのものは一番白くてヨーグルトのような酸味があります。そして一番美味しかったのが甘さとコクのあるBrebis/Chevre。2つの美味しいところをいいとこ取り、でしょうか。

個性あるコルシカのチーズ

Brocciu (ブロッチュ)AOP

こちらがコルシカ唯一のAOPチーズのブロッチュ。チーズを作る時に採れる(残る)羊と山羊のホエーから作られます。ただし生産が羊と山羊が乳を出す期間(10月~6月)ということで夏はフレッシュなものは買えないとのこと。がっかりしているとお店でこれを発見。店員さんに聞いてみるとこれはブロッチュの塩漬けとのこと。一日水に漬けて塩抜きしてから食べるように、と教えてもらいました。

こちらが塩抜きしたもの。
食べるとモッツアレラのような食感と味ですが、後味にかすかにシェーブルの風味がします。
フレッシュなものが食べてみたい、でも夏はムリ・・・幻のチーズなのかもしれません。

参考サイト:http://agriculture.gouv.fr/IMG/pdf/Cdc-Brocciu_BO_cle8279f6.pdf#search=’brocciu+passu’

A Filetta

こちらは羊乳ウォッシュタイプのチーズ。名前の由来は上に乗せられているシダだそうです。

皮も柔らかいこちらのチーズ、中身もとろりとクリーミー。塩がきつめですが慣れてくるとウォッシュタイプのコクが美味しい。
ブリーのコク、ポンレベックの風味などを思い浮かべました。

参考サイト:http://www.fromagerie-a-filetta.com/a-filetta-fromage-artisanale-corse-produit-taglio-isolaccio-corse-4-fr.html

U BEL FIURITU

こちらも羊乳ウォッシュタイプ。コルシカのVenacoという山間の小さな町のチーズ。コルシカのチーズには珍しく殺菌乳を使っているそうです。

オレンジ色の皮に包まれたチーズは最初に口に入れると匂いがキツく感じられ塩辛いのですが、旨味が凝縮されていてクセになる味。熟成されたカマンベールのような味わい。

この3つのチーズは先ほどのアジャクシオの野性味あふれるFermierのチーズとは違い、色んな人に食べてもらうためにおめかししたチーズという感じ。といっても普通のチーズよりはかなりインパクトがあります。あまりチーズが好きでない夫がこのチーズを美味しいと言った時は、人の味覚の慣れってスゴイな、と感心。

コルシカは小さな島ですが、地域によって全く違う表情を持った島で、野性味あふれる自然あり、美しい海があり、田舎の人の深切さを感じられるかと思えばオシャレでリゾート感のあるカフェがあったり・・・行くたびに新しい発見がありまた行きたい、と思わせる場所です。

私たちはその魅力の虜になりこれまで3回訪れましたが日本人、いえアジア人に会ったことがありません。そして日本語のガイドブックもほとんどない島。

美しい自然と美味しいチーズが好きで新しい旅行先を探している方にはぜひオススメです。

藤井浩子

夫、息子2人とパリ在住。趣味はミシュランガイド片手に美味しいもの食べ歩き。