パリの冬
フランスからの便り 2012~ : UPDATE /
なかなか寒くならず紅葉が進まない日本と違って、今年のパリは11月から寒波が来ていきなり真冬の天候に。10月の末に夏時間が終わってから、夜明けは8時頃、日の入りは5時ごろになって昼間の時間が激減。朝出かける時に子供に「今は夜?」と聞かれることも。いよいよ長くて寒くて暗い冬の到来です。
しかし年末にかけてイベントは盛りだくさん。
クリスマスツリー
12月に入ると花屋さんの前に並び出す生木のツリー。これを見るともう年末なんだという感じがします。
フランスではツリーの80%が生木だそう。生木のツリーは1ヶ月もすると枯れてしまうのであまり早くからは売っていません。少しの間の楽しみなのですが、うちではせっかく本場(?)なのだからということで毎年ツリーを買っています。
ツリーを運ぶためにかけられた白い網をとると部屋の中にモミの木のいい匂いが!
今年のツリーはこれまでで一番の大きさ。オーナメントが足りなくて急遽買い足しに行ってみんなで飾り付け。
落ちてくる葉っぱの掃除と捨てる時に外に運ぶのが一苦労なのですが・・・。
クリスマスデコレーション
フランス人は1人1人がプレゼントを交換するという習慣があるようで12月に入るとプレゼントの買物に大忙し。普段はお店が閉まっている日曜日も臨時営業です。そんな人ごみと賑やかなクリスマスデコレーションの組み合わせもまた年の瀬を感じさせる風景です。
ギャラリーラファイエット
クーポール(丸天井)を飾る今年のツリーはスウォッチとのコラボレーション。
巨大な20メートルのツリーの足下には小さな町があり、1時間毎に鳴る鐘を合図に様々な仕掛けが動きクリスマスの町の様子を再現します。
この巨大なツリーの組み立ての様子を動画で見ることができます。
プランタン
こちらは毎年ショーウインドーが素敵なプランタン。
ショーウインドーはギャラリーラファイエットも有名ですが、あちらは子供に人気、こちらの方がもう少し洗練されていて大人も楽しめる感じ。
今年はプラダとのコラボレーションということで、プラダの商品が飾られていたり、プラダのスーツを着たシュールなサンタがいたり。
子供向けのショーウインドーには可愛いクマがいますが、身につけているサングラスとリュックサックはよく見るとプラダ!
マルシェ・ドゥ・ノエル
12月に入るとマルシェ・ドゥ・ノエルと呼ばれるクリスマス市がパリのあちこちに立ちます。山小屋に見立てたお店ではクリスマスのグッズやヴァン・ショーと呼ばれるホットワインが売っていて雪国に旅行に行った雰囲気。
エッフェル塔の見えるトロカデロのマルシェにはスケートリンクも併設され週末は観光客や親子連れで大にぎわい。規模は小さいですが、その分ちょっとしたテーマパークにいるよう。
エッフェル塔の前にこんな冬の風景が出現。
左端に見えるのはサンタさんへの手紙のポストでした。
マルシェの入り口にはアーティストによるサンタの凧(?)の飾りも。
マルシェの夜の様子。ライトアップされるとさらにクリスマスらしい雰囲気に。
今日は濃い霧のためエッフェル塔の頂上が隠れてしまっています。
ボーヌワイン祭
少しさかのぼって11月、ブルゴーニュワインで有名なボーヌへ行ってきました。
こちらでは毎年11月の第三週末に「黄金の3日間」と呼ばれるワインのお祭りがあります。
正式には
Vente des vins des Hospices de Beaune(ホスピス・ドゥ・ボーヌ)
という名前のイベント。
貧しい人のための病院であったホスピス・ドゥ・ボーヌが運営資金を得るために自ら作ったワインの競売 にかけたのが恒例となったものです。
去年の競売の様子の動画を見つけました。
ホスピスの中の様子も見られます。
http://www.dailymotion.com/video/xv9elz_152e-vente-des-vins-des-hospices-de-beaune-2012_tv
この週末、小さな町にはたくさんの屋台が建ち並び楽団の演奏があったり移動遊園地がきたり、ととても賑やか。
色々なところでブルゴーニュワインを試飲して買うことができます。
私たちは下の写真のカーブで10種類ほどのワインをテイスティングしてきました。
試飲は有料なのですが、今回一番高かったのは1本100ユーロのワイン!お味は・・・「美味しい」としか表現できないのが淋しいところですが!
ブルゴーニュのチーズ
今回はボーヌの老舗チーズ&食材店、アラン・エスへ行ってオススメの地元のチーズを買ってきました。
左の青い包みがアベイ・ドゥ・シトー
左から:
Delice de Pommard (デリス・ドゥ・ポマール)
もともとポマールにあったこのお店のオリジナルチーズ。
ディジョンに代表されるマスタードが有名なこの地域ならではの、クリーミーな牛乳チーズに石臼で挽いたマスタードをまぶしたもの。
チーズとマスタード?と思いましたが、少し酸味のあるチーズケーキを食べているような食感とかすかなマスタードの風味が意外なマリアージュ。前菜にもデザートにもオススメとのこと。
この他にもカシスやパン・デピス(スパイス入りのパン)をまぶした物もあるようでもっとちゃんと見てくればよかった、と後悔。
Brillat-savarin (ブリア・サバラン)
ブリア・サバランというのは18世紀の有名な美食家の名前で、1930年代にAndrouet(アンドルゥエ)というチーズ生産者が命名したもの。なんとお菓子のサバランも彼にちなんで名付けられたものだそう。
クリームが貴重だった頃、乳にクリームを混ぜて作った乳脂肪分75%というこの濃厚なチーズは「チーズのフォアグラ」とも呼ばれます。
食後に出されるチーズが今と違って1種類だった時代にみんなこのチーズを食べていた、というぐらい人気があったそうです。
名称 | Brillat-Savarin |
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産地 | ブルゴーニュ |
熟成 | 2-4週間 |
重さ・形 | 500g、円形 |
サイズ | 直径12cm、高さ3.5cm |
乳 | 牛 |
タイプ | 白カビタイプ |
見た目通り、カマンベールのような皮の食感と微かなカビの香り。脂肪分が高いだけあって口の中でクリームのようにとけていきます。
しかし、カマンベールのように時間が経ってもだらりと溶けださず、バターのようなの質感なのはやはり高い乳脂肪分のせいでしょうか。
参考サイト:
http://www.fromages-de-terroirs.com/fromage-detail.php3?id_article=825&lang=fr
Le Trou du Cru(ル・トリュ−・デュ・クル)
牛乳のチーズをマール酒という蒸留酒で洗って熟成させたウオッシュタイプチーズ。
製法はエポワスと全く同じでプチ・エポワスと呼ばれています。
僧侶が肉を食べられない期間が長かった時代にチーズに強い匂いをつけることで肉を食べたような満足感を得るための食材だったそうです。
実は最初エポワスを買うつもりだったのですが、匂いが強いチーズが得意ではないと言うとこちらの小さいタイプを勧めてくれました。ところが家に帰って食べてみると皮は柔らかく匂いもそんなにせずクリーミーでぺろりと食べてしまいました。大きいのを買ってくればよかった、とまた後悔。
参考:エポワス・ドゥ・ブルゴーニュAOP
名称 | Epoissee de Bourgogne AOP |
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産地 | ブルゴーニュ、シャンパーニュ地方 |
熟成 | 4-6週間 |
乳 | 牛 |
タイプ | ウォッシュタイプ |
Abbeye-de-citeaux (アベイ・ドゥ・シトー)
シトー修道院の僧侶たちが1925年から作っているというこのチーズ。毎年ごく少量しか作られないため地元以外ではあまり見られないそう。
同じウオッシュタイプでもル・トリュ−・デュ・クルとは違って皮が硬く中身は弾力があり、強くはないもののウオッシュ特有の匂いがします。これもとても食べやすい。
名称 | Abbaye-de-citeaux |
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産地 | ディジョン、ブルゴーニュ |
熟成 | 2ヶ月 |
重さ・形 | 750g、円形 |
サイズ | 直径18cm、高さ4cm |
乳 | 牛 |
タイプ | ウォッシュタイプ |
ブルゴーニュの観光サイトによるとシトー修道院には店舗が併設されていてこのチーズを帰るそうです。行ってみればよかった・・・後悔。
もちろんこれらのチーズはブルゴーニュワインと一緒にいただきました。
今回色々後悔したことがあったのでまた来年もボーヌに行かなければ・・・というのを理由に一応来年のワイン祭のホテルをもう予約しておきました!