バカンス バスク編
フランスからの便り 2012~ : UPDATE /フランスバカンス事情その2
フランスで「日本のバカンスはどれくらい?」と聞かることがあります。お盆の4~5日と答えると「違う、その休みじゃなくて、バカンスよ」と。4~5日の休みなんて休みとは認めてもらえません。
ちなみに夫によると年間の有給休暇というのはフランスも日本もそんなに違いがないそうで、あとはちゃんと取得しているかどうか、またまとめてとるかどうか、など運用面での違いが大きいそう。
何週間も旅行に出かけたらお金がかかるし、どこへいっても混んでいて・・・という日本独特の事情も関係していそうですが。
私たちは今年フランスとスペインの国境、大西洋に面したバスク地方のリゾート地、ビアリッツへ行ってきました。
バスク
バスク地方というのはフランスとスペインにまたがる地域一帯のことで、バスク人による独特の文化が残った土地なのです。赤や緑の窓枠と屋根が特徴的なバスクの家々、男性がかぶっている黒いベレー帽、など。
そしてバスク語。
看板を見ているとフランス国内にも関わらずバスク語との2カ国語で記載されていることがあります。
文化が違えば料理が違う。その地方の料理を食べるのは旅行での一番の楽しみと行っても過言ではありません。
バスクでは普段のフレンチではあまり見かけないイカやマテ貝を食べたり、エスペレットという唐辛子を使ったり。驚いたことに生ハムが煮込み料理の中に入っていました!
そしてチーズも他の地方とは違うはず、ということで今回はバスクで見つけたおいしいチーズをご紹介したいと思います。
Saint Sebastien = Donostia
全然違います!
こちらはスペイン側バスクで有名なピンチョスというおつまみ。
バールというバーのカウンターで立ち飲みしながらこれをつまんで食べます。
我々は子供がいるのでお持ち帰りに。
ワインはイルレギーというバスク地方のワインです。
バスクの特徴的な家の生産者。
チーズの他にも家の前の桜の木でとれたサクランボでジャムを作っているそう。ジャムはチーズとも一緒によく食べられています。
チーズ農家へ
フランスを車で旅しているとよく「・・・の道」という意味の”Route de・・・”という看板を見かけます。
美食で有名なペリゴール地方ではLa Route du foi gras(フォアグラ街道)なるものがありましたが、ここバスクではLa Route du Fromage(チーズ街道)を発見。
公式サイト:http://www.routedufromage-ossauiraty.fr
この看板の出でいるところには気軽に立ち寄って見学したり、そこで作られている物を買うことができます。
車で通ったついでにちょっとお邪魔してきました。
こちらは以前にも紹介したオッソ・イラティー。この1種類のチーズだけを作っている小さな農家です。
真ん中に羊のマークが刻印されていて、よく見るとFの文字が。
これはFermier=羊を育てている農家が作ったチーズ。
もう一つのマークは羊の横顔とLの文字で、それはLaitier=農家から集められた乳で作ったチーズ。
比べてみてもらうために置いているそう。
見てもわかる通りだいぶ乾いて固くなっています。これが特に好き、という通もいるそう。
バスクのこんな山の牧草地で草を食べた羊の乳がチーズになっています。
この日はお天気が悪くていい写真が撮れずに残念。
バスクのチーズ
ビアリッツではMille et un fromagesという地元で有名だというお店へ。
レジデンスからも近く、マルシェの中にも店舗があったので何回か通いました。
色々な羊乳のハードチーズ。
それぞれ作られた村の名前が書かれています。
勧められて買ったのがやはりオッソイラティー。パルミジャーノのような食感とコク。値段もパルミジャーノレベルでしたが・・・。子供達も大好きな味。
写真に振った番号で説明をします。
1. Ohetaという生産者の Tomme de vache au lait cru(牛乳のハードタイプチーズ)
熟成:3−6ヶ月
エメンタールのような食感
味わいはクセがなく、乳の香りが強く感じられる
2. ARDITIK
Ekiolaという生産者の Pate molle au lait de brebis (type camembert)
羊乳のカマンベールタイプチーズ
外はぱりっ、中はとろっのカマンベールの食感そのまま
味はロックフォールチーズのような風味と塩味がある
3. Chevre au Jurancon
山羊乳のハードタイプチーズをジュランソンというお酒で洗って熟成させたもの
ウォッシュタイプさらに山羊乳とは言われないとわからないほどクセがなく食べやすくて美味しい
牛、羊、山羊と3種類のそしてタイプの違うチーズを楽しむことができました。
このチーズ屋さんで買ったチーズを毎晩夕食時に食べていましたが、味もさることながら、全部食べごろで美味しかった。
チーズって買っても意外とまだ固かったりして・・・さすが地元で有名と言われるだけある、と納得。
そしてバスクは有名なAOCチーズがオッソ・イラティーだけなのですが、それ以外のチーズが美味しいということも発見。
今回食べた美味しいチーズはそれぞれ小さな農家が生産しているチーズの本にも載っていないチーズたち。
そして同じ名前のチーズでも作り手が違えば味も違う。お邪魔したオッソイラティーの生産者も自分の家の羊の乳で自分たちのチーズ作りをしているという熱意が伝わってきました。
フランスでのバカンスはこれで3度目ですがチーズ農家を訪ねたり、何種類も知らないチーズを買ってみたのは初めて。やはりフランス、チーズをテーマに旅行をするだけでいつもよりその土地を知ることができた気がします。
そしてやはり食べ物は作っている土地の空気や気候のもとで食べるのが一番美味しく贅沢な食べ方ですね。