パリ 初夏

フランスからの便り 2012~ : UPDATE /

6月の最終水曜日に夏のバーゲンが始まって、7月に入ると現地の学校は早々と夏休み。
ずっと上着がないと過ごせないような気候だったパリもようやく30度近くまで気温があがり、毎日快晴!こんなに暑い日が続くパリでの夏は初めてです。

そんな中、晴れて気温も上がった日曜日、セーヌ河岸の自動車専用道路を公園に整備したBerges de Seineへ行ってきました。

今回初めて知ったのですが、ノートルダム大聖堂、エッフェル塔など周辺の歴史的建築物を含めたセーヌ川河岸はユネスコ世界遺産に登録されているそうです。

つい数ヶ月前まで2車線の自動車専用道路だったところが、たくさんの遊具やレストラン、ピクニックスペース、飲み水の水道やトイレまである公園に。

散歩しながらブランレー、オルセー、ルーブルなどの美術館にアクセスできるようになっていたり、イベントスペースがあったりと文化交流の場としての役割もあるそう。

パリの渋滞がさらにひどくなる、という批判はあるものの「セーヌ河岸を市民の手に取り戻そう」というスローガン通り、緑に溢れる市民に開かれたスペースは子連れの家族や観光客でいっぱいに。環境対策のためにレンタル自転車や電気自動車を導入した現市長の熱い思いをここにも感じます。

落書きし放題の巨大黒板!

子供だけでなく大人用のこんなスペースも。
これからは夏の間だけ開催されるパリプラージュでなくてもセーヌ川で日焼けできそう。

新しいパリの名所オープンです。

公式サイト:http://lesberges.paris.fr/areas/port-des-invalides/

ツール・ド・フランス

パリの初夏といえば、これ。
6月29日にコルシカを出発、21のステージをへて7月21日にパリでゴールするツール・ド・フランス。優勝者が着る黄色いユニフォームMaillot jauneは日本でも有名ですよね。今年は記念すべき100回記念大会です。

一般道がコースのため無料で誰でも観戦できるこの大会。沿道で応援する興奮したファンとの衝突などのハプニングもあり・・・日本でいうと毎回ドラマのある高校野球か箱根駅伝という国民的行事でしょうか。

今年のテーマはアンチドーピング。昨年、過去7連覇をしていたスター選手がドーピングを認めたという大スキャンダルがあったため、ドーピングのないツール・ド・フランスは可能か?というのが話題に。

ツール・ド・フランス公式サイト:http://www.letour.fr/le-tour/2013/us/

こちらは去年シャンゼリゼに見に行ったゴール付近での様子。自転車のスピードが速すぎて近くで見ると線状に見えます!

パリの自転車

ここで少し脱線してパリの自転車事情をご紹介します。
ママチャリ文化の日本と違ってこちらでは競技用などのスポーティーなタイプの自転車が主流。車道を車と一緒に走るためヘルメットをかぶって自転車に乗っている人の姿をよく見かけます。
子供の席はあっても後ろに1つ。前後に子供を乗せて走っているような光景は見られません。

以前に3人の子供がいるイギリス人ママに「ママチャーリー」を買いたい、売っているところを知らないか?と聞かれたことがあります。
車が多く、駐車スペースも少ないパリ、意外に電動ママチャリを売ったら流行るかも!?

街にはこんな自転車専用レーンも。

こちらは先ほどちょっとふれたVelibというレンタル自転車。誰でも1日から借りて乗ることができます。さらに便利なのはどこのステーションで乗り捨てても大丈夫。

お天気がよければこれに乗ってパリを観光するのもいつもとは違う風景が見られそうです。

Velib公式サイト:http://www.velib.paris.fr

自転車のカバーが少し変わっているのは部品の盗難防止のためだとか・・・。

先日通りかかった学校の前でちょっと面白い光景を見つけました。
すごい数の駐キックボード!ちゃんと盗難防止にチェーンがつけてあります。
パリでは自転車通学ではなくキックボード通学の方が主流のようです。

革命記念日

7月14日はフランスで一番重要な祭日。

1789年にバスティーユ監獄を襲撃した日で革命記念日として祭日になっています。革命を起こして勝ち取った自由。ストやデモで自分の意志を表現する国民性はここに由来するのだな、と改めて気付かされる機会です。

この日シャンゼリゼ通りでは先進国では唯一という軍事パレードが朝から行われます。
すごい人出なので背が低い私たちはシャンゼリゼを通るパレードが全然見えません。家でテレビを見ているのが一番よく見えるという人もいますが、パレード以外にも見所はたくさん。

頭上ではきれいに整列した戦闘機がすごい音をたてて凱旋門をかすめて飛ぶのが見えます。

シャンゼリゼの近くの通りは歩行者天国になって色んな戦車が展示され、誰でも乗せてもらえます。

軍事用ヘリの展示されている広場があったり(これも乗れます!)、突然近くの公園に白バイが整列していたり、一日中お祭りです。うちは男の子2人なので乗り物をたくさん見られて、しかも乗れるときたら大興奮。

日の長いパリの夏、やっと日が落ちて暗くなった夜10時にエッフェル塔をバックに上がる花火でお祭りは幕を閉じます。

フランス全土から兵隊さんやお巡りさんが大集合。エッフェル塔をバックに記念撮影していました。

シェーブルチーズ

夏を代表するチーズとして有名なのがシェーブルチーズ、ヤギのチーズです。

さっぱりした味から夏のチーズといわれていると思っていたのですが、実はヤギが子育てのために乳を出すのが3月から10月だからだそう。11月以降のチーズは冷凍保存された原料(カード)を使うようです。ということでシェーブルは夏が旬。

紀元前1万年前から地中海地方で作られていた歴史の長いチーズ。「庶民の牛」と言われたヤギは良質の乳を出す家畜として重宝されており、その乳を保存するために生まれたのがシェーブルチーズ。中世で物々交換にお金の代わりとして使われていた歴史もあります。フランス革命後の農業の法改正で家畜としてのヤギの数が増え、チーズの生産も爆発的に増えたそう。
フランスは世界で一番多くこのチーズを生産、消費しているということです。

フランスに来てびっくりしたのがシェーブルチーズの種類の多さです。1年に一家庭で平均2キロも消費していると聞けばその多さも納得。フランスのAOP認定チーズ43種類中14種類がシェーブルですが、その種類は製造家の数だけあるとか。

フランスに来てもう一つびっくりしたことはシェーブル=獣臭いと思い込んでいたのが、必ずしもそうではなかったことです。
ということで、今回はシェーブルを臭くないレベル順(主観的)にご紹介します。

チーズ屋さんのシェーブルコーナー。色も形もさまざま。

Chevre Frais

レベル0
熟成させていないフレッシュタイプのシェーブルチーズ。見た目はモッツァレラ、味はプレーンヨーグルトといった感じ。誰でも食べられるシェーブル。言われなければシェーブルとはわからないかもしれません。ハチミツやジャムなど甘い物と合わせるとちょっとしたデザートに。

色々な地域で生産されていますが、こちらはPoitou-Charentesのものでした。
こういうフレッシュなタイプのものほど乳の味が生きるので、ぜひ夏に食べたいですね。

Selles-sur-cher AOP

レベル1
グレーの炭の灰に覆われ熟成されたこのいかにも匂いの強そうなこのチーズ、意外や意外、食べやすいのです。外側は固めなのですが、中はカマンベールのようにクリーミー。美味しい!ワインがなくてもそれだけで食べられます。でもシェーブル好きには物足りないかも。こちらは4月から8月が食べごろだそうです。

参考サイト:http://www.aop-sellessurcher.com/index.php/definition-de-laop

名称 Selles-sur-cher AOP
産地 Centre
熟成 10-21日
重さ・形 125-140g、円形
サイズ 直径7.5cm、高さ2.5cm
山羊
タイプ フレッシュ熟成

Rocamadour AOP

レベル2
チーズを買うとどうしても食べられず残ってしまうのですが、こちらは食べきりサイズの小さなチーズ。ラベルの絵にもあるロカマドールという断崖にある巡礼の街で作られています。

外側は固めですが中は柔らかくシェーブルらしい香りがほんのりします。ワインと一緒に。
同じぐらいの大きさのPicodon、Pelardonも食べやすくシェーブルを試してみたい人はぜひこれらをお勧めします。

参考サイト:http://www.aoc-rocamadour.com/frame_rocamadour.html

名称 Rocamadour AOP
産地 Lot, Midi-Pyrenees
熟成 1-3週間
重さ・形 30g、円形
サイズ 直径4.5cm、高さ1.5cm
山羊
タイプ フレッシュ熟成

Banon AOP

レベル5
栗の葉に包まれヤシの紐でしばられ熟成されたこのーチーズ。見た目桜餅?といったかわいい感じですが、開けてみるとこの色が・・・。外は固いのですが中はクリーミーでおいしいかも・・・でも食べてみるとロックフォールをさらにパワーアップしたような味わい。熟成がかなり進んでいたものを買ってきたのかもしれません。きっとフランス人が納豆を食べるとこんな感じなんだろうな。
フランス人の友達にあげたら喜んでくれました。味覚の違いって文化の違いですね。シェーブル上級者に。

参考サイト:http://www.banon-aoc.com/presentation.html

名称 Banon AOP
産地 Rhone-Alpes
熟成 2週間-2ヶ月
重さ・形 90-120g、円形
サイズ 直径6-7cm、高さ2.5-3cm
山羊
タイプ フレッシュ熟成

シェーブルを試食する時に偶然テーブルに出ていたもろみ味噌をRomacadourとSelles-sur-cherにつけてみたのですが、発酵食品どうしなかなかいいマリアージュでした。その上にピーナッツを乗せてみるとなかなかいいおつまみに。

いつも食べているチーズも身近な食品と合わせてみると新たな発見がありそうですね。

参考サイト:http://www.fromagesdechevre.com/index.php

藤井浩子

夫、息子2人とパリ在住。趣味はミシュランガイド片手に美味しいもの食べ歩き。