パリ 春
フランスからの便り 2012~ : UPDATE /
ヨーロッパでは3月の最終日曜日に冬時間から夏時間への移行があり、時計の針を1時間早めます。冬は朝8時になっても暗いのですが、夏時間になると一気に日が長くなるパリ。すでに夜の9時まで明るい。
しかし今年はいつになっても気温が上がらず・・・4月の半ばになってやっと、ほんとにやっと春らしいお天気に!
人通りのなかった通りや公園も太陽が出るととたんにこの人出!冬の間はどこに行っていたんだろう?という感じ。
みんな待っていましたとばかりに太陽を浴びに外へ出かけ、カフェもテラスの席は日をさんさんと浴びてランチやお茶をする人であふれ返ります。
太陽がいつも出ている日本から来たばかりの時はわからなかったこのフランス人の習慣も長くて寒い冬を2回も越すと、わかるわかる!と納得。
Marathon de Paris
春の訪れとともに色んなイベントが目白押しです。
まずパリの春の一大イベントと言えば今年で37回目になるパリマラソン。
下のサイトからもわかるように、シャンゼリゼからスタートしてパリの主要な歴史的建物を見ながら走れるこのマラソンは毎年大人気で、ニューヨークに次ぐ人気の市民マラソンです。
http://www.parismarathon.com/marathon/2013/fr/r3_carte.html
4万人近くのランナーが参加するこのマラソン。引っ越してきた直後、知らずに出かけた先でこのものすごい数のランナーを目にして呆然とした記憶があります。
老若男女、仮装して出る人、車いすを押して走るグループと参加者も参加国も様々。
マラソン前日からいろいろなイベントがあり、お祭りのようです。
2014年の申し込みは10月から始まるようです。皆さんもいかがでしょうか?
Dimanche au Galop
次は4月と5月の日曜日に開催されるパリの競馬場のオープンデー。
パリには凱旋門賞が行われるロンシャン競馬場、障害レースのオートイユ競馬場と2つの競馬場があります。そこで交互に行われるこのイベントは、競馬レースはもちろん、馬を使ったスタントのショー、子供向けのポニーやメリーゴーランドなどが無料の家族揃って楽しめるイベントです。
上部やや左手に見えるのがエッフェル塔!
私たちも普段は足を運ぶことがないのでこの機会にと2週連続、2つの競馬場へ行ってきました。今回初めて障害のレースを見ましたが、騎手が落馬したり、馬が途中でレースをやめてしまったりとハプニング満載!
お天気の良い日だったので芝生はピクニックをする家族連れで大にぎわい。
子供はポニーに乗って満足。ちょっとビックリしたのがポニーの馬を引くのが係員ではなく我々親。
私も馬には悟られないように?恐る恐る引きましたが・・・これも自己責任の国ならではでしょうか。
パリでお花見
日本人にとって春と言えばやっぱりお花見。遠く離れたフランスでもやはり日本人は桜を探してお花見をしています。
こちらはパリ郊外の小さなシャトーのあるソー公園。ベルサイユ宮殿と同じ庭師が作った広大な庭園の一角にある桜です。
日本からは1ヶ月以上遅れた満開の桜。ソメイヨシノのような儚さはありませんが、こちらも豪華な美しさでは引けを取りません。
桜の下でお弁当、という習慣はないようで、場所取りもする必要なし。のんびり出かけて行ってピクニックできます。
たくさんのフランス人も桜を見に来ていました。
等間隔に美しく配列された桜の木
Foire de Paris (パリ見本市)
そしてまた見本市です。
学校のバカンスに会わせて開催されるこの見本市は「驚き」がテーマでさまざまなジャンルの出展あり、週末に合わせてショーやパレードも。
私はやはりガストロノミーとワインが目的、で訪れましたがやはりワインサロンや農業見本市ほどのブースは出ていませんでした。
その中でも多かったのがハードタイプのチーズのブース。
ボーフォール
夏の間に山で放牧された牛の乳から作られるBeaufort d’alpageと冬に山を下りて干し草を食べている牛の乳から作られるBeaufor d’hiverの2種類があります。
このチーズを作るのには自然の牧草で飼育される35頭もの牛の乳を混ぜることが決められているそう。濃厚で複雑な味わいのチーズは白ではなくピノ・ノワールの赤ワインと!
名称 | Beaufort AOP |
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産地 | ローヌ・アルプ地方 |
熟成 | 5-18ヶ月 |
重さ・形 | 17-20kg、円形 |
サイズ | 直径35-75cm、高さ11-16cm |
原料 | 牛乳 |
分類 | ハードタイプ |
コンテ
最初にフランスに来た時に食べてその美味しさにビックリしたチーズ。
コンテのオフィシャルサイトになんと日本語がありました!
フランス産AOP認定チーズの中で最も生産量が多いチーズだということ。
ところでこのAOPという「生産地呼称保護」とAOC「生産地呼称統制」という2つの基準、違いがよくわからなかったのですが、調べてみるとAOCは1935年にフランスで作られた基準、AOPは1992年にヨーロッパの基準としてできたそう。
ユーロの導入による市場 の拡大によりヨーロッパで統一された基準がいるようになったのでしょう。
2012年からはワイン以外はAOCでなくAOPの表示が義務づけられたそうです。
「ワイン以外」というところがさすがフランス!という感じです。
http://alimentation.gouv.fr/les-appellations-d-origine
名称 | Comte AOP |
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産地 | フランシュ・コンテ、ローヌアルプ |
熟成 | 4-18ヶ月 |
重さ・形 | 35-40kg、円形 |
サイズ | 直径60-70cm、高さ10cm |
原料 | 牛乳 |
分類 | ハードタイプ |
フランス VS スイス チーズ戦争
同じブースにグリュイエールチーズがありました。てっきりフランスのチーズだと思っていたらお店の人が「フランスのチーズはもうグリュイエールと呼べない」とのこと。
調べてみるとこのチーズには昔からフランスとスイスの間でうちのチーズ!と呼称を巡る争いがあったようで、
2001年にスイスのグリュイエールが国のAOCを取得
http://www.gruyere.com/fr
2007年フランスのグリュイエールが国のAOC取得
http://www.gruyere-france.fr
していましたがフランスの物は生産地がスイスより広い地域に分布していてAOCの基準には合わない、ということで2012年にEU基準のIGPという基準をもらうことで決着
IGPとはまた別のヨーロッパの基準でAOPより格下の基準のようで・・・フランスが負けた、ということらしいです。
http://fr.wikipedia.org/wiki/Indication_géographique_protégée
参考記事:
http://fr.wikinews.org/wiki/Le_gruyère_AOC_n%27aura_finalement_pas_de_trous
以前に紹介したモン・ドールやエメンタールと違ってこのグリュイエールは2つの国で全く違うチーズなため名前の共同所有ができなかったようです。
大きさや乳脂肪分の%が違うのはもちろん、一番の違いはフランスのチーズには穴があいているのです。スイスに言わせると「それはエメンタールだろう」と!
ということで、フランスのグリュイエールは今では Gruyere IGP français と呼ぶことになったようです。
日本では普段経験しない国境を接している国ならではの問題。また食に関するそれぞれの思いの強さも感じられます。私としては美味しければそれでいいのですが。
春の味覚
最後にヨーロッパの春の味覚、ホワイトアスパラをご紹介します。日本の筍のような存在でしょうか、これがマルシェに並び始めると春を感じる、という食材です。
ピーラーで皮を厚めにむいて10分ぐらい茹でて柔らかくなった物を食べます。
自家製マヨネーズで食べたり、溶かしバターをかけたりしますが、アツアツにオリーブオイルと今回ご紹介したようなハードタイプのチーズを削って食べても美味しいです。