パリのお正月風景

フランスからの便り 2012~ : UPDATE /

大掃除をして鏡餅やおせち料理を用意しておごそかに年を越し3が日を過ごす日本とは違って、カウントダウンで盛り上がるものの2日からすっかり日常に戻ってしまうこちらのお正月は日本人としては物足りないものです。

日本人にとっては「お正月休み」のところが「クリスマス休暇」であることからもわかるように、やはりこちらのメインはクリスマス。
お正月の飾りがないせいか、年が明けても街のあちこちにクリスマスの名残がまだまだ見られます。

シャンゼリゼのイルミネーション

「世界一美しい大通り」と言われるシャンゼリゼのイルミネーションもその中のひとつ。
昨年からエコをテーマにライトがLEDに代わりなんだかちょっと味気ない物になってしまいましたが・・・このイルミネーションを一目見ようと通りは大にぎわいです。

ギャラリー・ラファイエットのツリー

ラファイエットのクーポール(丸天井)の100歳を記念する今年のツリーはスワロフスキーのもの。
こちらも年が明けても残っていました。

120個のオーナメントと5000個のスワロフスキーからなるツリーは高さ21メートルもあってとても豪華。
大きすぎて全体を写真に撮れません!

今は青いオーナメントですが赤や金色などいろんな色に変わります

メリーゴーランド

年末になると街のあちこちに現れるメリーゴーランド。

なんとこれパリの街から子供たちへのクリスマスプレゼント、ということで年が明けて学校が始まるまで無料なんです!
私たちも去年はバカンスが終わる間近に無料だと気がついたのですが、今年はバカンス初日から最大限に利用!

うちの子供たちもここぞとばかりに次から次へと乗り物を変えては乗っています。
今日も飽きずに6回は乗ったはず・・・。
無料なので、私もいつになく辛抱強く見ています。

トロカデロやコンコルドなど有名な観光スポットにもできますので、機会があればぜひ!

ガレット・デ・ロワ

そんな中、フランスの年始に欠かせない物といえばガレット・デ・ロワ(Galette des rois)です。
この「王様のお菓子」という名前の外がパイ生地、中がアーモンドペーストの焼き菓子は中にフェーブと呼ばれる小さい陶器の人形が入っています。

ケーキを切り分けてフェーブが当たった人がお店でもらえる紙の王冠をかぶってその日1日王様になれる、というものです。

本来は1月6日の公現祭というキリスト教のお祝いに由来するものだそうですが、1月いっぱい街のパン屋さんやスーパーで買うことができます。

ガレットはなぜかこんな紙の袋にそのまま入れて渡されるので、縦に持って帰るはめに・・・。

フェーブ

ガレットの中に隠されている陶器製のフェーブはそら豆という意味のフランス語。
昔はそら豆が入っていたことが由来だそうです。

動物の形をしたものから人間、また有名なキャラクターなど様々な物があり、コレクターのために蚤の市でもたくさんのフェーブが売られています。

こちらの写真は近くのパン屋さんのショーウインドウに飾ってあるコレクション、しかもこれでも一部!
ガレットを食べるだけではこんなに集められないですね。

ガレットの味もフェーブもお店によって色々。いろんなガレットを食べ比べして、かわいいフェーブを見つけるのもこの時期の楽しみです。今年はいくつ食べられるかな?

あつあつ&とろとろチーズ

ラクレット (Raclette de Savoie)

今回ご紹介するのは寒い冬に美味しいチーズたちです。
1つ目はチーズの名前=料理名となっているラクレットです。

日本では冬といえば鍋ものですが、それに近い?と私が思っているのがこのラクレット。
このようなラクレット用のプレートでしゃもじ型のものにチーズを入れて溶かし、ゆでたジャガイモにかけてアツアツを食べます。

手前右がラクレット用のチーズ、ラクレット・ドゥ・サヴォワ。
左がハーブとコショウで、上が粒マスタードで味付けされたもの。

国境を超えてフランスとスイスで作られるこのチーズはスイスのものと区別するために「サヴォア産の」という名前になっています。

名称 ラクレット・ドゥ・サヴォワ
産地 ローヌ・アルプ
熟成 最低2ヶ月
重さ・形 4.5 – 7キロ、円形
サイズ 直径28 – 36センチ、高さ5.5 – 7.5センチ
原料 牛乳
分類 ソフト・ウォッシュタイプ

ラクレットとはもともと「削る」という意味のラクレという単語からきていて、かまどの前に置いたチーズの溶けたところを削ってジャガイモやパンにかけて食べたのが由来。

チーズはウオッシュタイプですが温めるためか匂いは全く気にならず、日本人、もちろん子供も大好きな料理です。

スーパーではこういった手軽なラクレット用のチーズセットも売られています。

モン・ドール (Mont d’or)

2つ目のチーズはモン・ドール。
スイスとの国境、名前の由来となっているMont d’or(金の山)付近でこちらも両国で作られているチーズです。
(スイスでの名前はヴァシュラン・モン・ドール)

写真のように木の皮で作った入れ物に入っているとても柔らかいチーズで、スプーンですくって食べます。

名称 モン・ドール
産地 フランシュ・コンテ
熟成 1ヶ月
重さ・形 115g、円形
サイズ 直径7.5センチ、高さ1センチ
原料 牛乳
分類 ソフト・ウォッシュタイプ

もうひとつの食べ方はこのチーズをオーブンで温めて溶けたものをやはりゆでたジャガイモなどにかけて食べる食べ方です。

今回初めてこのチーズを食べましたが、匂いも強くなく味もまろやかで家族にも好評、そして私も準備・片付けとも簡単にフォンデュ気分が味わえて大満足です。

最後にあつあつ&とろとろチーズといえば日本ではチーズフォンデュが有名ですが、チーズフォンデュはもともと残ったチーズを混ぜて溶かした家庭料理ということで入っているチーズも様々。
サヴォアのフォンデュにはエメンタール、コンテ、ボーフォールの3種類が入っているそうです。

皆さんも寒い冬、ぜひあつあつ&とろとろチーズをお試しください!

藤井浩子

夫、息子2人とパリ在住。趣味はミシュランガイド片手に美味しいもの食べ歩き。