クリスマスあれこれ ~カリフォルニア暮らしより~

アメリカからの便り 2012~ : UPDATE /

12月といえば

日本でもあちこちにクリスマス飾りが見られ、華やいだ感じになりました。
アメリカでもこの季節外せない話題はもちろん、クリスマスです。

アメリカでは前回ご紹介したThanksgiving Day(感謝祭) が11月の第4木曜日にあり、その後一気にクリスマス準備に突入します。
とはいえいずこも同じで、近年クリスマス商戦はどんどん早まりつつあり、知り合いのひとりは「昔はThanksgiving が終わってからじゃないとクリスマスの飾りなんて見なかったのに、10月からクリスマスの物が売ってるなんて風情がないわねえ」と嘆いています。



シリコンバレー中心部・サンノゼダウンタウンのChristmas in the Park。
感謝祭の翌日からお正月までオープンする。
暖地ゆえ、雪に見えるのはもちろん人工のもの。見応えある飾りは企業の協賛による。

12月といえば

日本ではクリスマスと言えば、子どもはクリスマスケーキを食べ、プレゼントをもらい、大人はカップルでディナーを、といった印象ではないでしょうか。
一方、アメリカのクリスマスは老いも若きも力いっぱい祝っている感じがして、それは盛大です。

アメリカの街では教会があちらこちらに目につきますし、言葉の端々にもキリスト教的言い回しはたくさん見られます。
今もキリスト教は文化に深く根ざしているのです。
少し宗教的な説明になりますが、本来クリスマスとは「神のひとり子であるイエスキリストが、大衆のために人の子という形をとって顕れたことを感謝し祝う、それはめでたい日」という位置づけです。
ですから、ただめでたいというよりはむしろ、喜びを分かち合い感謝を伝えるシーズンという感じがします。
クリスマスのオーナメントやクリスマスカードなどのデザインについている言葉に「Joy(喜び)」「Peace(平和)」「Wish(願い)」「Hope(希望)」などが見られますし、いたるところにセカンドハーベストフードバンクという団体が運営する、缶詰やシリアルなど、保存の効く食品を恵まれない人たちに寄付するためのドラム缶が置かれることからも、クリスマスがただうきうきと楽しいイベントなのではないことがお分かりいただけるでしょうか。
趣向を凝らしたクリスマス飾りがあちらこちらに輝く街で、クリスマスカラーの赤い色を身につけ、知らない人どうしでも「メリークリスマス」を言い合っていると、心がぽかぽかと暖かくなるような気がします。



一般家庭の見事なクリスマス飾り。
特にこのお宅は家中にとりつけた8万個以上のLED電球が、私設のFM放送にシンクロして踊るように点滅するのでちょっと有名です。
大勢集まった見物客がお金や食料品を寄付するコーナーが設えてあり、それをクリスマス後にセカンドハーベストフードバンクに寄付するのだそうです。
先に出てきたサンノゼダウンタウンの飾りも同じように寄付集めが主旨となっています。
動画をご覧になりたい方はこちらをどうぞ(音声が出ますのでご注意ください)
http://www.youtube.com/watch?v=Y7J8LP3j8GE&feature=relmfu

忙しいクリスマス

クリスマスはアメリカ人の多くにとって、嬉しい半面、少々悩ましい季節でもあります。
日本のお正月とよく似た存在であるクリスマスは多くの人が親元や遠くの親戚の家に帰省するので、空港や主要な高速道路は混雑します。

でも、昨年の新聞に載っていたアンケートでクリスマスに一番大変だと思うことは、という質問で1位だったのは「クリスマスギフト」でした。
日本のお歳暮によく似た存在ですが、アメリカのクリスマスギフトは団体や一家にひとつというのでなく、基本的に個人に贈ることになっているので選ぶのも渡すのも、もちろん金銭的にもかなりな負担なのです。
親戚一同はもちろん、親しい友人、名づけ子、学校や習い事の先生、庭師、はたまた場合によっては郵便配達員やゴミ収集車の地域担当の人などなど、ありとあらゆる人にギフトを渡します。
夏ごろから渡す品を準備し始める人もよくありますが、うっかりしまい場所を忘れて、冬に途方にくれる、などという悲劇も時にはおこるものです。

アメリカでは通常、日本のようなお店既成の包装はないので、プレゼントは自分で包装紙やリボンを選んでラッピングしなければなりません。
「クリスマス前に最後にこの人に会うのはこの日だから」などと渡す計画を立てるのも重要。
また、年賀状にあたるクリスマスカードはクリスマスまでに送るのがお作法ですから本当に大忙しです。
麗々しく飾られた色とりどりのプレゼントは、家の目立つところに飾りつけた大きなクリスマスツリーの周りにぐるりと積み上げ、クリスマスの朝に家族一斉に開けるのが一般的な習慣です。
わくわくしながらも開けるのを我慢していたプレゼントたちをひとつひとつ見ていくのは本当に楽しいものです。

さて、こうして頂いたプレゼントには、重なったりあまり気に入らなかったら返品交換しに気軽にお店に持っていけるように、とレシートがついていることがよくあります。
アメリカらしい合理的な考えですが、クリスマス翌日から返品交換コーナーに長い列ができるのを見ると、ちょっと興ざめだなあと思います。

ちなみに私は子どもたちの学校の先生方や習い事の先生、夫の同僚など大勢の方に日頃の感謝の気持ちを伝えたくて、それは沢山のクッキーを焼きました。
3~4種類のクッキーを合計700枚ぐらいは焼いたでしょうか。
それらを詰め合わせてラッピングを施し、お礼の一言を添えたカードと一緒にさし上げた時の相手のこぼれんばかりの笑顔や、その後の心のこもったお礼状を見るたび、こちらもまた嬉しくなったものです。

プレゼントが積み上がった我が家のクリスマスツリー

おいしいクリスマス

さて、もちろんクリスマスと言えばご馳走を食べるシーズンでもあります。
クリスマス当日のディナーは家族や、ごく親しい友人と一緒に過ごすものですが、クリスマス前にはいろいろとパーティーもあります。
地元の教会で聖歌隊に属していた私は、まだ入って間もない頃、「クリスマスコンサートの前に恒例のポットラック(持ち寄りパーティー)がありますよ」と言われ、「さあ、何を持って行こうか」とドキドキしました。

他の地域はわかりませんが、カリフォルニア(特にシリコンバレー)はなんでもカジュアルな場所です。
服装もさることながら、食べ物もいいように言えばおおらかというか適当で、当日のお料理も結局「なーんだ、こんなんでいいのか」と拍子抜けするぐらいでした。
スロークッカーという電気鍋でトマトソースと一緒にじっくり煮込んだミートボールを鍋ごと持ってくる人もいましたが、買ってきた果物やオードブル類、またはスイーツを並べただけ、などという人もたくさんいます。
そこらへんのスーパーマーケットに行けば、すぐに素敵なパーティープラッター(パーティー用の盛り合わせ)を買うことができるので、忙しい人やお料理があまり得意でない人にはもってこいです。
チーズと果物の盛り合わせや、チーズとクラッカーの盛り合わせは豪華に見えてヘルシーな、みんなの大好きな定番です。
こちらの写真はオーガニック高級食材で有名なホールフーズマーケットのサイトから借用したチーズとフルーツの盛り合わせ例(ひとり分あたり2ドル)です。
ここにクラッカーを一箱添えれば完璧!
プレートに乗っているチーズの種類は左下から時計回りにブリー、チェダー、プロヴォローネ、スモークモツァレラ、スイスチーズ。もちろんお店や選ぶ人によって使われるチーズも様々ですが、アメリカ人の好むチーズの代表格がこれでわかりますね。
そのホールフーズのチーズスペシャリストによれば、今年のクリスマスのおすすめチーズは「温めてよし、そのまま食べてもよしのブリー」だということです。

意外にもアメリカのクリスマスには特にこれを食べなければ、というお料理はなく、家庭ごとに思い思いのご馳走が準備されます。
家族やとても親しい友達同士集まって、楽しく和やかに過ごすクリスマスはその存在自体が何よりも心を温めてくれるご馳走です。
今年のクリスマスはぜひ皆様もご家族で穏やかな、そしておいしい一日を過ごしてみられてはいかがでしょうか。
最後にベーキング食材で有名なBetty Crocker社の2008年版Holiday Recipe Collectionから、簡単にできてちょっと豪華なレシピを一品、日本でもできるようにアレンジしてご紹介します。

アプリコット・ベイクド・ブリー(ブリーのパイ包み)

材料:
※パイ生地から作る場合はこちらを参考にしてください
前回のカリフォルニアコラム

冷凍パイシート 1枚
アプリコットジャム 大さじ4
刻んだくるみ 大さじ3
レッドオニオン 大さじ2(刻んでおく)
ブリーチーズ 1箱
※円形の状態のものを水平に半分にカットしておく
生クリーム 大さじ1

作り方:
1.ジャム、くるみ、オニオンを混ぜ合わせる(A)
2.めん棒で伸ばしたパイ生地の中央に(A)の半量を
  ちょこんと乗せる
3.2の上にチーズの半分を乗せたら、その上に残りの(A)を
  塗り、もう片方チーズを被せる
4.パイ生地をやさしく両側から折り曲げてチーズを包み込み、
  合わせ目はつまんでくっつけておく。
5.天板に広げたベーキングシートの上にパイの綴じ目を
  下にして置き、(つまり逆さまにする)生クリームを
  刷毛で塗る。
  包む時に余ったパイ生地があればお好きな形に
  カットして飾りに載せる
6.190~200度のオーブンで約20分、キツネ色に
  なるまで焼く。
 (温度や時間はチーズの大きさやオーブンによって
  調整してください)

熱いうちにどうぞ!

Betty Crocker”Holiday Recipe Collection”の写真から

西川久美子

本職はピアノ弾き。3年2ヶ月の米国カリフォルニア州サンノゼ暮らしを経て、現在関西在住。 夫、息子、娘との4人ぐらし。趣味は歌、ズンバ、ピラティス、お菓子作り。